- 作者: 長谷川集平
- 出版社/メーカー: 文研出版
- 発売日: 2010/12/01
- メディア: 大型本
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以下、極力ネタばらしはしないように作品のポイントを探っていきます。
続編で新たに持ち上がってきた問題は、夢を見てるのは誰なのかということです。普通に考えれば主人公の少年ということになりそうなのですが、そうではないと主張する人物が現れたため、事態は混迷してきます。少年の夢であると仮定するなら、その夢の登場人物にそれを否定されることによって、この夢の世界を形作っている欲望の方向がねじれてしまいます。
逆に、本当に夢を見ているのはそちらの方だとしたらどうでしょうか。それならば少年は他人の夢の登場人物に過ぎないことになってしまいます。すると、夢を見ている人物の権力性は絶対的なものになります。少年の前に立ちふさがるその人物の他者性は高まり、まったく了解不能な存在となります。
もうひとつ大きな疑問は、トリゴラスは「もうまちにようはないねん」と言いつつ、なぜまちに戻って少年をさらい、さらにもう一度舞い戻ってまちを破壊したのはなぜかという問題です。これはトリゴラスが誰の欲望を代行しているととるのかで解釈の方向性が変わってきそうです。だから、その前に夢を見てるのは誰なのかという問題を解決しなければなりません。