『待っている怪談 白い本』(緑川聖司)

待っている怪談 白い本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)

待っている怪談 白い本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)

『黒い本』『赤い本』に続く、連作ホラー短編集第三弾です。『黒い本』と『赤い本』が(ネタバレはいけません)で完結していたので、続編の出来がいまいちだと二作で終わらせていた方が美しかったと批判されることになるのではないかと心配していたのですが、杞憂でした。
ひとりで雪山のペンション行きの電車に乗っていた少年が、車内で出会った少女と拾った本に導かれるように怪異に巻き込まれる話です。「白」がテーマということで、雪女、兎、白蛇などが登場する怪談が語られます。
『黒』『赤』は恐ろしい怪談を集めていたのに対し、今回は雪女の話などの切ない怪談が目立つ構成になっています。竹岡美穂の描くはかなげなキャラクターが雪女のイメージにぴったりなところもポイント高いです。
このシリーズの特筆すべき点は、カバーイラストのセンスがいいことです。黒、赤、白というテーマとなる色彩を巧みに引き立てて恐怖を演出しているのが憎いです。
ついてくる怪談 黒い本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)

ついてくる怪談 黒い本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)

終わらない怪談 赤い本  (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)

終わらない怪談 赤い本  (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)