『カメレオンのレオン』(岡田淳)

授業中にトイレに行きたくなったマコトがひとりで廊下を歩いていると、後ろからペタペタした足音が聞こえてくる。やがて頭の後ろから魚くさい息がかかってきて……。桜若葉小学校から始まった怪事件が、どんどんご町内に拡散していく様子が語られます。
岡田淳はものすごく怖い話を書く人ですが、この作品では緩急をうまく使い分けることで、ホラーパートとコメディパートのおもしろさをそれぞれ増幅しています。
冒頭の話では、一体どんなディープワンが現れるのだろうと期待感を煽られますが、実際出てくるのはペンギンで、気が抜けてしまいます。そんな感じではじめは小学校内でのちょっと笑える奇想天外な怪事件が展開されます。ところがそのうち、交通事故に発展するような事件も起こるようになり、急に深刻になっていきます。それでいて結末はあんなことに。
岡田淳の怖さと奇想の楽しさを両方楽しめるいい作品でした。