『完訳 オズの魔法使い』(ライマン・フランク・ボーム)

完訳 オズの魔法使い 《オズの魔法使いシリーズ1》

完訳 オズの魔法使い 《オズの魔法使いシリーズ1》

復刊ドットコムがまたも偉業を成し遂げました。
ハヤカワ文庫版が手に入らなくなって長い年月が過ぎ、オズがシリーズものであったことが日本では忘れられかけていました。そこにこの朗報です。ライマン・フランク・ボームのオリジナル・オズ全14巻との未邦訳の番外編をあわせた全15巻が、復刊ドットコムから田中亜希子・ないとうふみこ・宮坂宏美の三者による新訳で刊行されることになりました。
1巻を再読するのはおそらく20年ぶりくらいなので記憶に残っていなかったのですが、、序文をあらためて読むとすごいことが書いてありました。その趣旨を要約すると、「教訓も道徳もいらない、現代の子どもたちを楽しませるためだけに物語を書く」というもの。1900年に子供の本に関するこんな急進的な宣言がなされていたというのは驚きです。
そもそもオズの魔法使いはペテン師ですし、欠けた心のパーツを紛い物で埋めるという解決も教育的ではありません。でも、楽しければそれでいいのです。