『マリー・アントワネット物語』(藤本ひとみ)

「わたし、花のフランスに行って、だれよりもしあわせになるのよ!」フランス革命のきっかけとなったことで有名なお姫さまの真実の姿は、よくいる普通の女の子だったのです!おちゃめで明るく元気な少女が、お嫁に来てから仲間はずれにならないためにどれほどがんばったのか―。その奮闘がわかる、楽しい歴史ドラマにワクワク!

「歴史発見! ドラマシリーズ」と銘打たれた、青い鳥文庫藤本ひとみ歴史小説第1弾です。最初がこれで、第2弾がジャンヌ・ダルクという、どす黒い悪意が感じられるような謎ラインアップが目を引きます。裏表紙の紹介文には上記のようなことが書いてありますが、マリー・アントワネットの人生にはあまりワクワク要素はないような気が……。
はじめはマリー・アントワネットの子供時代を、宿題から逃げ回っている女の子として紹介しています。こうしてなじみやすいキャラクターにしようとしているのかと思いきや、作者はだんだん勉強嫌いなヒロインに辛辣な視線を向けるようになります。
紹介文のとおり、彼女は「仲間はずれにならないために」頑張ります。彼女はコミュ力の戦いの舞台に立っています。しかし、彼女の立場では、そればかりに目を向けているわけにはいきません。彼女は国の財政などには全然関心を持たず、結局革命を招くことになります。
もしかするとこの作品は、勉強を真面目にしないと革命が起こってしまうぞという脅しを隠している、非常に教育的な物語なのかもしれません。