『宇宙からきたかんづめ』(佐藤さとる)

宇宙からきたかんづめ

宇宙からきたかんづめ

佐藤さとるは理詰めに世界を構築する作家なので、彼の作品はSFとして読むこともできます。たとえばコロボックルシリーズも、小人の設定の細かさ(人間とのスピードの違いなど)を見れば、SFとして読むのが妥当であるともいえます。そんな佐藤さとるが〈SF童話〉と銘打っているのが、この『宇宙からきたかんづめ』です。
盛光社1967年の加筆修正版、缶詰型の休憩所にこもっている宇宙人が、少年にホラ話を聞かせる話です。
中でも子供の頃から好きなのが、絶対に頂上にたどり着けない塔の話です。登るにつれてだんだん巨大化する金平糖の謎を手がかりにてっぺんに着かない理由を探る過程の合理性にしびれるとともに、塔の秘密のスケールの大きさにめまいがしたのをよく覚えています。