『めざせ日本一! 熱投!北海アニマルズvs熱々!大阪オイデヤス』(二宮由紀子)

めざせ日本一!―熱投!北海アニマルズvs熱々!大阪オイデヤス

めざせ日本一!―熱投!北海アニマルズvs熱々!大阪オイデヤス

動物チーム北海アニマルズと大阪名物チーム大阪オイデヤスが戦う日本シリーズ終戦の模様が、野球実況風の語りで展開されます。
ナンセンス童話の最先端を突っ走る二宮由紀子ですが、この作品は深読みする必要はありません。ただばかばかしい話として存分に楽しめます。
とにかくギャグの密度がすごい。1ページあたり2,3はなんらかのくすぐりが仕掛けられています。たとえば選手の紹介だけでも、オイデヤスの二番バッター串カツなら「一本すじのはいった姿勢で、チームの支柱的存在」、中継ぎピッチャーのおしぼりであれば「自在にまがる、やわらかなカーブが持ち味のおしぼり、オイデヤスの投手陣の中ではつねに地味な脇役に徹し、時にはチームの汚れ役もすすんで引き受けてきています」といった具合。
奇抜な選手たちが常人には計り知れない戦術・戦略でプレーする様子からは目が離せません。
イラストは『ハリネズミのプルプル』シリーズなどでも二宮由紀子と組んでいるあべ弘士。そうめんだの京番茶だのが野球をしている様子を描けという無茶な要求に平然と答えてしまう児童書の画家は、つくづくおそろしいと思います。