- 作者: ヤンネ・テラー
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/11/23
- メディア: 単行本
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この作品の怖さは、人生の無意味さを説いているところにあるのではありません。クラスという小集団が暴走していく様子を描いているところが怖いのです。『蝿の王』の系譜に連なる作品と理解すべきでしょう。
意味の山に投げ込むものは、その人にとって最も大切なものでなくては「意味」がありません。意味の山建築はやがて、気にくわないやつの大切なものを指摘して、それを捨てさせることによって嫌がらせをする活動になっていきます。意味の山に放られるものはどんどんエスカレートしていって、中には精神を病んだようになってしまう子供も出てきてしまいます。
『蝿の王』と違い、この作品の子供たちは地理的に社会から隔絶されているわけではありません。社会の中にありながらも、小集団内の空気に流されて行動を先鋭化させてしまうのです。ここに不気味なリアリティがあって、ぞっとさせられます。