『ようこそ、古城ホテルへ2 私をさがさないで 』(紅玉いづき)

古城ホテル第2巻。ホテル『マルグリット』の女主人として新しい人生を歩み始めた少女たちでしたが、それぞれ背負っている複雑な過去は、なかなか彼女たちを解放してくれないようです。魔女のピィが以前所属していた魔山の魔法使いたちに拉致されてしまいました。友情に厚い女主人が放っておくはずもなく、みんなで魔山に殴り込みに行きます。
この作品の主人公の少女4人は、4人だけの閉ざされた連帯の中で生きています。外界に対しては全く不寛容で、仲間に危害を加える相手に対しては、全くためらいなく非合法な報復を行います。2巻で亡国の姫君リ・ルゥは、4人に隠されたある共通点を指摘します。そこからもわかるとおり、彼女たちはいつ反社会的な集団になってもおかしくない危うさを持っています。
ただしそれは私的領域での話。公的領域での彼女たち、つまり職業人としての彼女たちは、金さえ払えば誰でも受け入れる寛容さを持っています。このアンバランスさが今後どのような軋轢を生み出していくのかが気になります。