『なぜカツラは大きくなったのか?』(キャスリーン・クルル/文 ピーター・ マローン/絵)

なぜカツラは大きくなったのか?―髪型の歴史えほん

なぜカツラは大きくなったのか?―髪型の歴史えほん

売れ筋の新書のようなあざといタイトルですね。原題は『Big wig a litte history of hair』という素っ気ないものなので、思わず手に取ってみたくなるこの邦題をつけた判断は大当たりです。
古今東西の髪型に関する雑学が学べる文化人類学絵本です。表紙はヴェルサイユ宮殿の盛り髪ブームを描いたものです。
髪型の発祥を語った第一章はこのようになっています。

むかしむかしアフリカでは、だれもが毛むくじゃらだった。だから、毛づくろいしあえば友だちになれた。あなたの毛皮のコートから虫をお取りしましょう、というわけだ。(中略)男も女も、食べられる植物を集めるのにいそがしかった。例外は、ほら穴の壁に絵を描く者ぐらいだった。ある日、絵描きたちは思った。筆で髪をとかすのも悪くないんじゃないかなあ。こうして最初のヘアブラシが誕生した。

巻末に参考文献一覧があるので大部分は根拠のある話だと思われるのですが、このような与太話も交じっているので油断できません。でも、史実であろうが嘘であろうが、笑える話が満載であることは確かです。
ただし、いろいろな国の人々の身体的特徴に触れているので、中には人種差別ジョークになりかねないものもあるのではないかという懸念はあります。そのあたりは詳しい人の判断を待ちたいです。