『トゥルー・ビリーヴァー』(ヴァージニア・ユウワー・ウルフ)

トゥルー・ビリーヴァー (SUPER!YA)

トゥルー・ビリーヴァー (SUPER!YA)

詩のような独特の文体でアメリカの貧困層の現実を描いて話題になった『レモネードを作ろう』の続編です。
大学に行くために勉強やバイトに励むラヴォーンに、さまざまな試練が襲いかかります。母親に新しいボーイフレンドができたり、親友が聖書を史実だとする偏狭な宗教に入れ込んで、疎遠になってしまったり、好きになった男子が……だったために盛大に失恋したり。しかし、どんなにひどい目にあってもラヴォーンは、「可能性があるという可能性を信じて」、前向きに生きていこうと決意します。
訳者あとがきによると、作者は「この本で、ラヴォーンにつらい目にあってほしかった」「わたしは、ラヴォーンの行く手に障害物を、それも彼女自身どう考えていいかわからないものを置きたかったのです」と語っていたそうです。理不尽な試練を与えることで信仰を試そうとする作者の態度は、まるでヨブ記の神のようです。