『海辺の宝もの』(ヘレン・ブッシュ)

海辺の宝もの

海辺の宝もの

イクチオサウルスの全身化石の発見などで有名な、19世紀イギリスの古生物学者メアリー・アニングの伝記物語です。以前ぬぷん児童図書出版から沢登君恵訳で『海辺のたから』というタイトルで刊行されていましたが、現在では入手難になっていました。このたびめでたく、あすなろ書房から鳥見真生の新訳で復活しました。
化石採集という変わった趣味を持つために田舎で疎外されている少女が地道にがんばっているといると、やがて偉い学者に認められてボーイフレンドもできるという、ベタなシンデレラストーリーですが、ベタをきちんとやっているだけにわかりやすく楽しい読み物になっています。このようにストレートに知的探求心のすばらしさを伝える読み物は貴重です。佐竹美保のイラストがたくさん入っているのもうれしいですね。
ただし、現実は物語のようにすべてがうまくいっていたわけではないようです。この本でメアリー・アニングに興味を持った方には、朝日選書の『メアリー・アニングの冒険』をおすすめします。
メアリー・アニングの冒険 恐竜学をひらいた女化石屋 (朝日選書)

メアリー・アニングの冒険 恐竜学をひらいた女化石屋 (朝日選書)