- 作者: 梨屋アリエ
- 出版社/メーカー: ほるぷ出版
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: 単行本
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ただし、ネットを題材にしているというのはこの作品集の一面でしかありません。梨屋アリエが短編作家として並外れた力を持っていることはすでに『プラネタリウム』や『夏の階段』などで証明されていますから、この本も彼女の短編小説として楽しめばいいのです。
第1話と第2話は悶え死にそうなほど甘い恋愛小説で、これはこれですばらしいです。しかし後半の作品になると梨屋アリエらしいブラックさが出てきます。第3話では自作の絵をネット上で無断使用されたことに文句を言ったら、相手になにが悪いのか全く理解されなかったというエピソードが出てきますし、第4話には友達面をして障害者の主人公に無情な仕打ちをする少女が登場します。ネットであろうがリアルであろうが切らなければならない人間関係があるということ、世の中には言葉の通じないひどい人間が存在するということを、きれい事を排してみもふたもなく語っています。