『アーヤと魔女』(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)

アーヤと魔女

アーヤと魔女

いまだに訃報が信じられませんが、これがイギリスを代表する偉大なファンタジー作家DWJの遺作だそうです。それだけに徳間書店も力を入れたようで、佐竹美保のカラーイラストがたくさん入った豪華な本になっています。
孤児院で暮らしていた少女アーヤが魔女に引き取られるところから物語は始まります。このアーヤはただの女の子ではなく、人を思いのままに操る能力を持っていました。孤児院の居心地がよかったので、今までは子供を選びに来た人々をうまいこと追い返していたのですが、さすがに魔女には歯が立たず、初めての敗北を経験します。それでもアーヤは全然めげることなく、魔女の家に入り込んで彼女を支配下に置くチャンスを虎視眈々と狙い続けます。
というわけで、魔女よりも主人公の女の子の方が化け物度が高いんですね。こういう食えない女の子主人公はいかにもDWJ作品らしいです。
魔女との戦いはとりあえず完結しますが、アーヤの出生の秘密などは解決されていません。著者の体調が万全なら、ここからDWJならではのカオスワールドが展開されたのではないでしょうか。