『名探偵VS.学校の七不思議 名探偵夢水清志郎の事件簿2』(はやみねかおる)

「名探偵夢水清志郎の事件簿」第2巻。幻影師の娘中島ルイが伊緒たちの学校に転校してきました。美人で勉強も運動も万能のルイが入ってきたことによりクラス内の力関係が変化しそうになり、転校早々不穏な空気になります。そして伊緒やルイは、学校の七不思議をめぐる事件に巻き込まれることになります。
2期から怪奇趣味を前面に出すようになったこのシリーズですが、2巻では名探偵の不気味さに踏み込んでいます。探偵志望の伊緒は、教授が自分よりも怪人志望のルイと相性がいいことに気づき居心地の悪い思いをします。これは当然。名探偵と怪人は同じカードの裏表でしかありませんから、探偵同士より探偵と怪人の方が仲がよいに決まっています。教授が意図的に幻影師を逃がしているのではないかという疑惑も生まれ、伊緒にとっての教授は、あこがれの先達であるとともに得体の知れない怪物でもあるという微妙な立ち位置になります。
同じ青い鳥文庫の「お嬢様探偵ありすと少年執事ゆきとの事件簿」では、「名探偵」というあり方に疑義を差し挟む方向に物語が進んでいるので、こちらでもその概念へ検証を進めていけばおもしろくなるのではないかと思います。