『魔女じゃないもん!2 悪魔の手先にご用心!?』(宮下恵茉)

魔女じゃないもん! 2 悪魔の手先にご用心!? (集英社みらい文庫)

魔女じゃないもん! 2 悪魔の手先にご用心!? (集英社みらい文庫)

「私も、がんばらないように、がんばるから、川上さんも、がんばらないように、がんばって!」

あるものの本質を探るために、それのもっとも顕著な特徴を奪ってしまうという方法があります。それによって、顕著な特徴の陰に隠されたなにかを探ることができます。この作品には魔法の使えない魔法少女バンビが登場します。はたから見れば彼女はただの痛いコスプレイヤーにしか見えません。しかし、本物の魔女の末裔であるリセの使い魔のミュウミュウは、なぜかリセよりもバンビの方をひいきしています。クラスを裏からコントロールしようという欲望を持つリセから見ると空気を乱しているようにしか見えないバンビの行動も、なぜかうまくいき「キセキ」を生み出してしまいます。魔法なんか使えないはずの凡才バンビが、魔法少女としてのなんらかの資質を持っていることは間違いなさそうです。このシリーズは魔法の使えない魔法少女という異端的な設定により、アニメだけでなく児童書のなかでも一大ジャンルを築いている魔法少女ものの本質を検証しようとしているのかもしれません。
さて、バンビに巻き込まれてすっかり魔法少女キャラにされてしまったリセは、スクールカースト最下層どころか、スクールカーストの外側にまではじき出されてしまいます。さらには、今後悪魔や魔女狩りの狩人(つまり人心操作のプロ!)が登場することが予告されており、学園ものとしてどんどんシビアになりそうで楽しみです。