『ぼくたちの骨』(樫崎茜)

ぼくたちの骨

ぼくたちの骨

今まで身体性に対するこだわりを作品に表していた樫崎茜ですから、その興味が死体に行き着くのは理の当然といえます。
扁平足が足底筋膜炎になってしまったために所属している陸上部の練習に参加できなくなっていた千里は、幼なじみの春人に新聞部に誘われ、廃園間近の小さな動物園の取材に連れて行かれます。そこで剥製が保管されている小部屋を発見し、ぶかっこうなチーターの剥製に奇妙な同情を抱きます。やがてチーターを修復したいと思うようになった千里は、新聞部の仲間とともに調査を進めていきます。
この作品では、様々なものの接続が発見されます。筋肉と骨の接続。歴史と記憶の接続。生きている動物と死んだ動物をつなぐ動物園と博物館の接続。そして生と死の接続。ここで語られているのは、つながりへの希望であり、それでも永続するものはないという絶望でもあります。