- 作者: 富安陽子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/10/24
- メディア: 単行本
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富安陽子だけあって、日本の土着的なファンタジーの料理はお手のものです。怪しげな神事や狼と人との異類婚など、暗く不思議な世界が魅力的に描かれています。加えてミステリ的な味付けが強いので、非常に娯楽性の高い作品となっています。
圧巻なのは神事の正体がわかってからのラスト80ページほど。実はこの作品はファンタジーではなくタXXXXXもののXXだと判明して物語の方向性が定まってから、怒濤の勢いできれいに物語がたたまれていきます。人間の切なる願いは奇跡を起こすことはできても、条理をまげることはできないという悲劇が、美しく描かれた傑作でした。