- 作者: 奈雅月ありす,曽根愛
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2013/03/01
- メディア: 単行本
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主人公を完全に頭がおかしい人物に造形しているところが、この作品のいいところです。ノブナガは信長に心酔するあまり、尾張から三河への引っ越しを「都落ち」であると認識していて、新天地の人々をあかぬけない「三河武士」と呼んでバカにしています。このような主人公を設定することで、作品世界を独自の異常な空間に染め上げているのがうまいです。
ただし、作品全体の完成度は残念なものでした。このキャラ設定から、ノブナガが三河に敗北するというのは既定路線になってしまうのだから、課題はロボカップをエンターテインメントとしてどう盛り上げるのかということになります。しかし、競技の場面が少なくロボットが実際にどのような動きをしているのかをイメージさせる筆力が欠けているため、まったく燃えない話になってしまっていました。
ロボットものでは中松まるはがエンタメ性に優れた傑作をものしています。新人にこの域を求めるのは酷ですが、先行作品と比べるとあまりにも見劣りがしてしまいます。