- 作者: 近江屋一朗,黒田 bb
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/04/05
- メディア: 新書
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というわけで、変格スポ根ものです。ばかばかしいことを大まじめにやっているところに好感が持てます。トンデモ理論でステルス能力を身につけ、偶然も味方につけて一足飛びに段位を上げていくスピード感とくだらなさがたまらなくおもしろいです。
登場人物に正気の人間が誰ひとりとしていないのもいいです。かくれんぼ関係者がおかしいのは当然ですが、茶道の人もパワーと大食いを重視する意味のわからない集団になっています。
そして主人公の観頃凜、彼女のようなパワー担当女子は知能の方が残念というのがお約束ですが、彼女はひと味違います。彼女は透明から「相手の心を読んで、相手が一番いやがることを冷徹にやる」という「鬼の心」を評価されていました。頭脳とパワーを駆使して獲物を追い詰める凜は、まさに〈鬼〉の称号にふさわしいキャラクターとして造形されています。
物語の展開が唐突で、構成にもう少し工夫がほしいですが、勢いとスピード感でその程度の欠点はカバーできています。新興の児童文庫レーベルから新しい児童向けエンタメが生まれるのか、今後の展開にも注目していく必要があります。