- 作者: 長谷川集平
- 出版社/メーカー: 解放出版社
- 発売日: 2013/04/19
- メディア: 単行本
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語り得ないことをどうやって語ればいいのか。この作品は、語り得ないことを語らない節度を持っていながら、同時に饒舌でもあります。真実は個々の体験の総体のなかにしか見出すことはできません。でもこの作品は、簡潔で力強い表現で語り得ない真実に迫ろうとしています。これこそが芸術の力です。
赤と青の色彩が印象に残る本です。赤い空と青い川と青い空、赤い輪郭線と青い輪郭線。男とその娘が過ごす青い日常の世界は、結局は赤い世界に包囲されています。これが長谷川集平のとらえた世界の現実なのでしょう。