『ギャザリング・ブルー』(ロイス・ローリー)

ギャザリング・ブルー 青を蒐める者

ギャザリング・ブルー 青を蒐める者

とうとう、『The GIver』の続編の邦訳が出ました。講談社版の掛川恭子訳『ザ・ギバー』が出たのは1995年ですから、日本の読者は20年近く待ったことになります。本国では2012年に第4部の『Son』が刊行されているそうで、ぜひ第4部まで新評論で邦訳を出してもらいたいと思います。
第1部ではSF的なディストピアが描かれており、いまだにファンがネタばらしを控えるほどの衝撃的な仕掛けが施されていました。第2部はそれに比べれば衝撃度では劣りますが、やはり子供が収奪される凄惨なディストピアが設定されていて、読ませます。
足に障害を持つ少女キラは、庇護者であった母親が亡くなったため、村から追い出されそうになります。そこへ意外な弁護人が現れ、染色の技能を買われてキラは一命を取り留めます。しかし、うまい話だけで終わるはずがありません。キラは第1部の主人公のジョーナスと同様に、醜い社会のシステムを思い知ることになります。