『バイバイ、サマータイム』(エドワード・ホーガン)

バイバイ、サマータイム (STAMP BOOKS)

バイバイ、サマータイム (STAMP BOOKS)

岩波書店「STAMP BOOKS」の第5回配本は、イギリスの若手作家による一夏のゴーストストーリーです。
ダニエルは、父親と2人で滞在型のスポーツリゾート施設で休暇を過ごすことになります。しかし、肥満傾向で運動が苦手なダニエルにとっては、リゾートどころか地獄に放り込まれたようなものでした。おまけに、ダニエルが母親の浮気現場を目撃したことから家庭が崩壊したばかりで、父親と一緒にいるのも大変気まずい状況です。
そんな最悪な休暇でしたが、レキシーという少女と親しくなるという僥倖もありました。ただし、この少女には謎が多く、体が傷だらけだったり、腕時計が逆に時を刻んでいたりと、尋常な人間とは思えないことばかり。ダニエルはレキシーの悲しい運命に巻き込まれていきます。
パラノーマルな現象と、リゾート施設という管理された人工的な空間、サマータイムという人工的な制度がよく調和していて、劣等感にまみれた少年の成長物語に彩りを添えています。