偕成社のホラーアンソロジーの第2期。収録作の中から面白かった作品をいくつか紹介します。
- 作者: 日本児童文学者協会,スカイエマ
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2014/03/12
- メディア: 単行本
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「不自然な街」(伊藤美香)
化け物たちに異世界に取り込まれてしまう話。化け物たちとの意思の疎通が絶対に不可能であるということを印象づけるラストがいいです。
「決めるのは本人だ」(眉村卓)
人間をはるかに超えた知性体の実験台にされ、様々な異世界で危険な目に遭う無間地獄に放り込まれた少年の物語。ジュヴナイルSFの第一人者の作品だけあって、思索性とシビアさが突出しています。
- 作者: 日本児童文学者協会,黒須高嶺
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2014/03/04
- メディア: 単行本
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「あきちゃった」(山本弘)
久しぶりに学校に現れた不登校の少年の正体が明らかになることにより、世界が反転する話。電柱を蹴るという異常行動などで、不気味さや違和感を積み重ねていき、最後に一気に落とすあざやかな手腕にほれぼれしてしまいます。
- 作者: 日本児童文学者協会,丹地陽子
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2014/03/13
- メディア: 単行本
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「風を一ダース」(山本けんぞう)
芸術に殉ずる者の物語。ただただ美しいです。
「暗黒チョコレート」(藤野恵美)「麦の穂が揺れた日」(太田忠司)
どちらも、ありえない選択肢を提示することで読者に罪悪感を持たせるタイプの、いやらしい話です。この2作品をラストに続けて配置した編集者の悪意には、戦慄を禁じ得ません。
- 作者: 日本児童文学者協会,ナカライカオル
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2014/03/12
- メディア: 単行本
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「闇がうごめく」(田部智子)
この巻に限って、すべての作品に「0丁目」という地名が登場するように統一されています。このありえない地名を召喚するために各作家がどのように工夫を凝らしているのか、ここが見所です。田部智子の作品は、オーソドックスな侵略SFで、「0丁目」という空間の出現によって世界が崩壊していくさまが美しかったです。アカツキウォーカーの濁流のようなイラストもあいまって、ストレートに怖い作品になっていました。