『おばあちゃんは大どろぼう?!』(デイヴィッド・ウォリアムズ)

おばあちゃんは大どろぼう?! (児童単行本)

おばあちゃんは大どろぼう?! (児童単行本)

イギリスのコメディアンで、児童文学作家でもあるデイヴィッド・ウォリアムズの邦訳2作目。
配管工を目指す少年ベンは、金曜の夜が大嫌いでした。金曜の夜は両親がふたりきりでデートする習慣になっていて、そのあいだ退屈なおばあちゃんの家に預けられることになっていたからです。ところがあるときベンは、おばあちゃんの家で宝石の山を見つけます。不審に思っておばあちゃんを尾行してみると、黒ずくめのニンジャみたいな格好をして宝石店を襲おうとしている現場に遭遇。おばあちゃんはベンに、自分が宝石泥棒の常習犯であったことを告白します。ベンは配管の知識を使ってロンドン塔に侵入し戴冠用宝玉を盗む計画を立て、おばあちゃんの盗賊人生に有終の美を飾らせようとします。
序盤は、敬老精神のかけらもないおばあちゃんの描写に笑わせられます。おばあちゃんはまずいキャベツ料理ばかり作り、始終くさったキャベツのにおいのするおならをしていると。箇条書きや図解まで駆使しておばあちゃんのひどさをこれでもかと告発しています。
おばあちゃんの語るホラとしか思えない手柄話も愉快です。インドでは象を積み上げてはしご代わりにして巨大な要塞に侵入しただとか、とほうもない大ボラが展開されます。
終盤は、世界一有名なおばあちゃんが登場して大暴れします。これがもうひどい。こういう表現は日本ではまず不可能なので、イギリスの自由すげえなと思います。