- 作者: 松本泰
- 出版社/メーカー: 真珠書院
- 発売日: 2014/05
- メディア: 単行本
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『紫の謎』は、主人公の吉野友子が聖マリヤ学院を卒業する場面から始まります。ところが、迎えに来るはずの父親がいつまでたっても現れません。校長が隠していた手紙で父親が収監されていることを知った友子は、汽車に乗って東京の刑務所に向かいます。しかし父親と会っても事情はまったくわからず、一見して素人でないことがわかる今まで存在も知らなかった姉と名乗る女に引き取られて、怪事件に巻きこまれていきます。
事件はともかく、この話で一番危ないのは探偵役を務める教誨師の大村進という青年です。彼のやったことをまとめてみると……、
- 汽車賃が足りなくて切符売り場で困っていた友子にお金を与えて、まずまずの第一印象を得る。
- 教誨師という立場を利用して、不自然でないかたちで友子を刑務所に案内する。
- 教誨師という立場を利用して、友子とその周辺の個人情報を収集。
- 手に入れた個人情報を利用して、友子を助けるヒーロー役を演じる。
なんという天然ストーカー体質。友子と大村青年はどうも恋仲になるようですが、傍から見ていると、探偵は恋人にしてはいけないということがよくわかります。