『ふたりは世界一!』(アンドレス・バルバ)

ふたりは世界一!

ふたりは世界一!

イタリアのユーモア児童文学。井戸の底に住んでいるイドゾコこびとに世界記録を更新し続ける呪いをかけられた男クラウス・ウィンターモルゲンを救うために、低身長男子フワニートと高身長女子ベロニカがウィンターモルゲンに破れない世界記録を目指す話です。
フワニートは「あっぱれ」という言葉に変なこだわりを持っていたり、ベロニカは暇があれば無限のことを考えていたりと、奇妙なキャラ付けをされています。イラスト上は二人の身長差は倍くらいになっているので、八尺様に魅入られた少年みたいに見えて、視覚的にもおもしろいです。
そんなふたりが海の水飲みやら人間ピラミッドやら数え切れないくらいの世界記録を打ち立てますが、とたんにウィンターモルゲンに破られてしまい、ふたりの挑戦は困難を極めます。なにしろこのウィンターモルゲン氏、毛を伸ばす早さの新記録を聞くと即座に芝刈り機で全身の毛を剃って、3分20秒で1メートル伸ばして記録を塗り替えるという化け物なのだから、勝負になりません。
ふたりが打ち立てる世界記録は奇想天外なものばかりで、それを列挙されるだけでも楽しいです。戦いの舞台がどんどんエスカレートしていくさまも愉快。ナビゲーター役を務める洋梨型の男の特技がおならで空を飛ぶことだったり、大人数で歌を歌うという新記録を作る際に無意味に牛の糞をたたえる歌詞を採用したりと、細部の下品なギャグも光っています。
グロとバイオレンスを抜いたダールといった感じの奇妙なユーモア児童文学で、たいへんおもしろかったです。