『チェシャーチーズ亭のネコ』(カーメン・アグラ・ディーディ ランダル・ライト共著)

チェシャーチーズ亭のネコ

チェシャーチーズ亭のネコ

ヴィクトリア朝ロンドンの伝統あるパブ、チェシャーチーズ亭を舞台とするぬこ小説。チェシャーチーズ亭はその名の通りチーズが名物で、ディケンズら高名な文豪も常連客になっていました。そこにネズミ退治のハンターとしてスキリーというネコが雇われます。ところがこのスキリーは、ネズミを食べずチーズが大好物という変わり者でした。スキリーはネズミを食べるフリをしてネズミの安全保障をするかわりにチーズをもらうという取引をかわし、人間以外みんなが幸せになります。しかし、チェシャーチーズ亭にとある要人が囚われていることがわかり、またディケンズが動物たちのあやしげなふるまいに感づいたりして、波乱が巻き起こります。

                階
              段
            を
          降
        り
      て
    い
  く

といった具合の文字を使った遊びが多用されているのが愉快です。その一方で物語はサスペンス性に満ちていて、動物同士の戦いも凄惨に描かれています。英国文学の教養のある読者であれば、さまざまなパロディも楽しめるでしょう。いろいろな楽しみ方ができる作品になっています。