『おーばあちゃんはきらきら』(高楼方子)

ここまでよくきたこと。いつかまたいらっしゃいね。鳥をおいかけてずうっときたみたいに、すこしずつ、ずうっとずうっといらっしゃいね。きっとよ
(p14)

幼い子どもは時々突拍子もないことを言って周りの大人をひやひやさせるものですが、この話の主人公・小学1年生のチイちゃんは、〈おーばあちゃん〉と呼んでいる大好きなひいおばあちゃんに、こともあろうにこんなことを言ってしまいます。
「こんなにおばあさんで、おーばあちゃんがかわいそう」
おーばあちゃんはチイに、自分の幼いころの昔話をしてくれます。広い原っぱの長い柵に赤い鳥と青い鳥が並んでとまっているのをみつけたおーばあちゃんは、鳥を捕まえようとします。しかし青い鳥に手を伸ばすと青い鳥は赤い鳥のむこうに逃げ、赤い鳥に手を伸ばすと赤い鳥は青い鳥のむこうに逃げるということが繰り返され、いつのまにかはてしなく遠いところまできてしまいます。やがて周囲はもやにつつまれ、そこで自分の将来の姿とおぼしきおばあさんに出会い、冒頭に引用したようなことを言われます。
青い鳥がメーテルリンクの鳥だとすれば、赤い鳥はリンドグレーンの『赤い鳥の国へ』でしょうか。赤い鳥と青い鳥を追いかけることを繰り返すうちにどんどん流れていく時間。
この物語で高楼方子は、邪悪にも死と老いをお友達として子どもに紹介しているようです。