『まほとおかしな魔法の呪文』(草野たき)

まほとおかしな魔法の呪文 (おはなしガーデン48)

まほとおかしな魔法の呪文 (おはなしガーデン48)

小学校に上がってからずっと学童クラブに通っていたまほは、3年生になってひとりぼっちになってしまいます。なかよしだった友達が塾や習い事で学童クラブに来なくなってしまったからです。なんとか恭子ちゃんという新しい友達を作ることに成功しますが、夏休みの少し前に転校してきたさつきちゃんが恭子ちゃんを独占するようになり、またもまほはひとりになってしまいます。
恭子ちゃんは背の高い女の子であるという設定になっており、カタノトモコのイラストでも、いかにも包容力のあるお姉さん然としたキャラクターとして描かれています。これが作家と画家が共謀してこしらえたトラップであったとは……。
人は成長するに伴っていろいろなものを捨てていかなければなりません。この作品では、その変化があっけらかんと描かれているために、かえって苦みが増しています。草野たきには珍しい小学校低学年向けの作品ですが、やはり彼女は容赦がありません。