『黒猫さんとメガネくんの学園祭』(秋木真)

黒猫さんとメガネくんの学園祭 (角川つばさ文庫)

黒猫さんとメガネくんの学園祭 (角川つばさ文庫)

『黒猫さんとメガネくんの初恋同盟』の続編が登場。オカルトマニアなために学校中の生徒からおそられれている椎名さんの靴箱に呪いの手紙を入れる命知らずが現れます。お互いの片思いの手助けをする協定を結んでなし崩しに椎名さんのお世話係になった青原優人の方は、毎年死人が出ると噂されるほど激務の学園祭実行委員になってしまい、なかなか椎名さんに目が行き届かなくなってしまいます。
相変わらず椎名さんのズレっぷりが面白いです。呪いの手紙を出されたというのに怒るポイントがそことは……。
しかし、そんな椎名さんを抱えたクラスでは、学園祭はかなり厄介なイベントになります。この学校には悪意を持って椎名さんを仲間はずれにしようとか思っている生徒はあまりいないようで、ガチで怖がってどう接していいかわからず困っている生徒の方が多数派なようです。お世話係の優人がいないので、学園祭の準備の場面での椎名さんへの役割の振り方が大きな問題になってきます。
ひとつの問題がすっきり全面的に解決されることなく、また別の問題がどんどん持ち上がってくるという展開は、非常にリアルな学校生活っぽくみえます。そんな中でそれぞれの登場人物が少しずつ前進していく様子が好ましいです。
ただ、この少しずつ前進を描ききろうとすると、かなり長大なシリーズにしなければならなそうです。今後の展開にも期待したいです。