- 作者: 池田美代子,尾谷おさむ,手塚治虫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/10/09
- メディア: 文庫
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残忍な祈祷師ピューマが支配する島から追放され記憶を失った少女ルーナは、宗源という富豪の家にひそかに引き取られることになります。その富豪の娘ノアがルーナと生き写しであったため、ノアの兄の海は影武者としてルーナを家に入れるつもりでしたが、情が移ってやがては正式に養子に迎えると約束します。
画業に入れ込んで(原作ではヒョウタンツギの絵ばかり描いている)家庭を顧みない母親に反抗し、小学校でも不良扱いされているノアは、ルーナを自分の身代わりに仕立て上げて嫌な習い事をさせたりして都合とよくこき使いますが、だんだんルーナの善良な性格に感化されていきます。
そっくりさんの入れ替わりをきっかけにしたすれ違い劇というレトロ少女まんが展開を、池田美代子は上品な筆致でみごとに楽しい児童文学に生まれ変わらせています。
第1巻では原作のおよそ4分の1ほどのエピソードが語られています。1巻の時点での大きな改変点は、ノアも島とは別口の犯罪グループに狙われているという設定を付け加えていることと、原作にはいないノアの学校の友人を登場させていることです。ここを生かして原作からストーリーをずらしていくとしても、原作に忠実にストーリーを進めていくとしても、池田美代子であれば上質の物語に仕上げるであろうことは間違いありません。
ただひとつだけ不満点を述べると、池田作品にしては血しぶきが全然足りません。原作の筋を大幅に変えてでも、血しぶきは増量してもらいたいです。