『ハーフ・ワイルド』(サリー・グリーン)

ハーフ・ワイルド―ネイサン・バーンと魔のナイフ (上)

ハーフ・ワイルド―ネイサン・バーンと魔のナイフ (上)

ハーフ・ワイルド―ネイサン・バーンと魔のナイフ (下)

ハーフ・ワイルド―ネイサン・バーンと魔のナイフ (下)

世界的ベストセラーファンタジー「ハーフ・バッド」3部作の第2部。行方不明だった父親のマーカスのおかげでどうにか儀式を受けることできたネイサンですが、彼の不幸はまだまだ終わりません。マーカスを仇敵と付け狙うwitchマーキュリーに恋人のアナリーゼを人質に取られ、マーカスを殺すように脅迫されてしまいます。そんななかネイサンは白のwitchの委員会に抵抗する勢力と接触します。そして白のwitchたちと全面的に対立することになり、凄惨な武力抗争に巻き込まれます。
第1部はネイサンが差別され監禁され虐待されやがて逃亡するという、陰鬱なばかりでカタルシスのない展開でした。しかし第2部では物語が激しく動くようになり、第1部とはまた違った楽しさを提供しています。危機の連続、激しい銃撃戦(この世界では派手な魔法戦はあまり見られず、バトルは基本的に銃撃戦。力のある魔法の使い手でも、銃で撃たれたらわりとあっさり死ぬ)、次々に倒れる仲間。魔法の登場するファンタジーというよりも、ギャングの抗争を描いたノワールのようなテンションで、物語は進んでいきます。
離ればなれになっていた父と子の確執、ネイサン(男子)をめぐってガブリエル(男子)とアナリーゼ(女子)が争う三角関係といったメロドラマ要素も盛り上がってきました。
そして、衝撃のラスト。第3部の『Half Lost』は3月末に発売されています。翻訳版もすみやかに出してもらいたいです。