『天と地の方程式』(富安陽子)

天と地の方程式 1

天と地の方程式 1

天と地の方程式 2

天と地の方程式 2

天と地の方程式 3

天と地の方程式 3

富安陽子による学園異能SFが完結。これといい佐藤多佳子の「シロガラス」シリーズといい、実績のある作家が、自身が子どものころに好きだったであろうジュヴナイルSFテイストの作品を再現する試みが続いています。さらにあとに続く作家の登場が待たれます。
「天と地の方程式」は、日本の神話をモチーフとして、天ツ神に選ばれた超能力を持つ子どもたちが黄泉ツ神と戦う話です。キャラクターの個性、謎空間に閉じ込められて戦いを強いられる緊迫感、適度なオカルトうんちくなど見所が多く、バランスのよいエンターテインメントになっています。
タイトルに「方程式」とあるように、数学が作品の重要なモチーフとなっています。小学校高学年くらいからならなんとなく理解できるくらいのおもしろ数学ネタを繰り出して、素朴に「数学カッケー」と思わせるレベルに調整しているのがうまいです。その積み重ねの上にある、数学の天才Qと完全記憶能力者のアレイの連携が功を奏するラストバトルの展開には、きっと驚かされるはずです。