『みんなの少年探偵団2』(有栖川有栖/他)

江戸川乱歩の少年探偵団のスピンオフ短編集第2弾。こういう企画ですから、そりゃみんなメタに走りたくなるでしょう。少年探偵団シリーズの刊行時からすればかなり未来にスピンオフが企画されているという状況は、どうしてもメタを誘発します。
有栖川有栖の「未来人F」、未来人出してしまったら二十面相が怒るのも無理はありません。歌野晶午「五十年後の物語」も、七代目小林芳雄が出てくる時代の話であれば、そういうチートが出てきてもしかたないでしょう。
メタネタでもっともおもしろかったのは、坂木司の「うつろう宝石」。神様のように小林少年を見つめる明智探偵の目は、おそらく読者の目とも接続されているのでしょう。

ひとのこころは、うつろいやすいものです。そしてうつくしく、またおそろしいものです。
『紅の涙』の首飾りをめぐる事件は、これでおしまいです。けれど少年探偵団の冒険は、まだまだ続きます。
彼らを見つめ続ける、目がある限り。(p192)

大崎梢「闇からの予告状」は、別種の驚きを提供しています。となると、一番素直にスピンオフをしていたのは、平山夢明の「溶解人間」ということになるのでしょうか。