- 作者: こぐれ京,上倉エク
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/05/15
- メディア: 単行本
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小春のハイテンションな語りで隠蔽されていますが、小春は実は不幸な生い立ちの孤児であったことがやがて明らかになります。そんな小春に対するミルの「助手として私と旅をして」というセリフは、プロポーズに他なりません。この話を単純化すると、不幸な孤児を王子さまが救い出して外の世界に連れ出してくれるという構造になっているので、娯楽性は保証されています。
認識のギャップというものは残酷なもので、小春の趣味の〈パンダッシュ〉は、客観的にはパシらされているようにしかみえません。それでも小春の学校生活は安定していましたが、転校生という外部の目が導入されることで、その化けの皮は剥がされてしまいます。しかし、そのやむにやまれぬ行動を頭ごなしに否定せず、受け止める姿勢をみせているあたり、児童文学としていいところをすくい取っています
……わかってくれてたんだ、うちの気持ち。
ひとから見たら、ただつらいことに見えるかもしれない……。
それでも、自分で選んでやることって、ある。
それはなにか大切な、自分の形を作っておくための……器みたいなものなんだ。
(p140)