『キノコのカミサマ』(花形みつる)

キノコのカミサマ

キノコのカミサマ

このタイトル、蛍光色の目に優しくないカバーイラスト、ヤバイにおいしかしないじゃないですか。
花形みつる作品の名物といえば、ダメ親クズ親クソ親です。この作品では、花形みつるダメ親コレクションのなかでもかなりインパクトの強いダメ親が生み出されています。
タケオの父親は、食品会社の研究員で、ド田舎の研究所に単身赴任(実質島流し)しています。ずっとキノコの研究をしている父親は、母親によると「キノコとしかコミュニケーションできないヒト」。家は村人たちの集会所として占拠されていましたが、それでも動じずマイペースにキノコトークを繰り広げています。そして、おそらく会社からは見捨てられているにも関わらず、ひとりで「革新的バイオキノコ」の開発にいそしんでいるのです。
教訓とかを求めるタイプの話ではないので、かわいそうな父親を愛でるのが、この作品の楽しみ方になります。
もちろん、この作品の魅力は父親のダメさだけではありません。父親を囲む村人たちは異常なテンションの変人ばかりで、自称カミサマまで登場します。変人たちとキノコが作り上げるサイケ空間にひたるのも、この作品の楽しみ方です。