- 作者: マージェリー・シャープ,ガース・ウィリアムズ,渡辺茂男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1987/10/20
- メディア: 単行本
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今回のステージはねずみの身にはあまりにも広大な塩坑。それも、事故率が75%の危険きわまりない列車に乗って長旅をしなければならないという、非常に難しい任務でした。唯一の救いは、今回は久しぶりにはじめからバーナードが同行しているということです(そのかわり、足を引っ張る老学者ねずみが2匹加わるという編成)。しかし、それが思わぬ悲劇を生むことになります。
苦労して辿り着いた塩坑で一行を待ち受けていたのは、ちょうどねずみにぴったりのサイズの、岩塩を掘って作られた豪華なミニチュアの町でした。バーナードと老学者2匹は、ここで過ごすことで堕落してしまいます。バーナードは優雅な生活をしてミス・ビアンカと同等のレベルに階級上昇したと勘違いしてしまい、あろうことか詩作を始めます。その詩があまりに下手すぎたので、かえってミス・ビアンカとの差が歴然としてしまいます。あわれバーナードは入水自殺を試みますが、地下湖の塩分濃度が濃くて溺れることができず*1、ひどい醜態をさらすことになります。
シリーズではミス・ビアンカとバーナードの身分差を越えた絆が何度も感動的に描かれていますが、一方で越えがたい壁も残酷に描き出されています。実際のところマージェリー・シャープは、身分違いの恋愛は成立する派なのかしない派なのか、どちらなのでしょうか。