『二ノ丸くんが調査中』(石川宏千花)

小学5年生の二ノ丸くんには、ちょっと変わったところがありました。それは、いつも都市伝説の調査をしていること。彼は、都市伝説を黒丸(ホンモノ)と白丸(ニセモノ)に判別する謎の活動をしていました。
今回登場する都市伝説には願い事を叶えてくれる系統のものが多いのですが、それを使おうとする子どもたちに二ノ丸くんは、都市伝説には「伝えわすれ」があるのだと警告します。「伝えわすれ」とは、願いを叶えたときに負わされるリスクのこと。都市伝説に関わった子どもたちは、このリスクに振り回されることになります。
この作品の怖さは、願いを叶えたことにより本人の人格が変容してしまうさまを描いているところにあります。第2話「生きかえり専用ポスト」の主人公は、都市伝説アイテムを使って死んだ飼い犬を生き返らせます。しかし、「伝えわすれ」のせいで、あんなに愛していた犬の再びの死を望むくらい憎むようになってしまいます。人の気持ちの変容とは、なんと残酷で、なんと悲しいことか。