- 作者: 福田隆浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/04/19
- メディア: 単行本
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ということで、この作品は小学校を舞台にした日常の謎ミステリだということになります、探偵役が無口なため、「さて」と言って謎解きをする場面がないのが、この作品の珍しいところです。セリフが差し挟まれないので、地の文だけで流れるように推理と解決の過程が展開されます。ここがすいすい進んでいくので、読み心地がいいです。特別悪意があって謎が発生しているわけではないので、探偵が真相を暴き立てなくても別に差し支えはありません。この事件の温度もちょうどいいあんばいで、優しい作品世界を構成しています。
しかし、主人公の設定に教育的意図をこめるならこうなるだろうなという方向に物語は進み、香菜の個性は否定されてしまいます。せっかく無口でも自足して楽しく生きているャラクターを作り上げたのだから、それを最後まで肯定する道を選んでもよかったのではないかと思います。