『つくえの下のとおい国』(石井睦美)

つくえの下のとおい国

つくえの下のとおい国

6歳のマナと、5歳のリオの姉妹は、おじいちゃんの書斎にある机の下でよく遊んでいました。まるで門のように見える机は別の世界への入り口のようで、空想遊びの場所としてはぴったりです。ところが、モモジョと名乗る謎の毛玉が現れて、本当に異世界にいざなわれてしまいます。
門のような机という発想がまずすばらしいし、空想遊びをしているうちに姉妹の間でしか通用しない謎言語が生まれるというのも魔法的でよいです。
とにかく、大人が手に取れば懐かしさを感じることは間違いない本です。物語の内容も子どものころから慣れ親しんだものだし、タイトルもなんかみたことあるような気がするし。特にあざといのは、カバーデザインです。題字にわざとレトロっぽい書体を採用しているところとか、あざとさを隠そうともしていません。絶対この本、子ども受けよりも大人受けを考えてつくっているだろ。
とはいえ、わたしが子ども時代このような本が好きだったというのは事実で、ならば現代の子どもも喜んでくれるのではないかという期待は持ってしまいます。大人から子どもへの文化の継承というのはこの物語の大きなテーマです。そうであるならば、この異世界の謎も簡単に予想がついてしまいます。
あざといあざといと文句を言いつつ、結局最後まで楽しく読んでしまったのでした。