- 作者: 高楼方子,大野八生
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2018/03/07
- メディア: 単行本
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〈フラココノ実〉を食べるということは、ある種の通過儀礼の象徴なのでしょう。スタンダードな成長物語であれば、当然4ミリの仲間たちは〈フラココノ実〉を手に入れまっとうな大人になることに成功するものと期待されます。しかし、この本の著者は高楼方子です。彼女のデビュー作『ココの詩』は、恋に囚われたヤンデレ人形がある手段で世界を閉ざすという、アンチ成長物語の極みのような作品でした。一筋縄ではいきそうにありません。
ふたりは、批評家から〈何かが足りない〉と指摘されている画家のバンボーロさんを勧誘します。しかしバンボーロさんは、自分の現状を肯定して仲間になることを拒否、さっそく〈フラココノ実〉は食べるべきであるという価値観は揺さぶられます。しかもバンボーロさんは、ひとりになってから唐突に気分が変わって、ふたりに協力することになります。読者はふりまわされるばかりです。
結局、4ミリの仲間たちに足りないものはなんなのでしょうか。作中で明言されているのは、4ミリたちには〈学ぶ〉ということがないということ、4ミリたちの周囲には〈うふふ〉という空気が満ちているということです。
で、着地点はそうきますか。やはり高楼方子は悪い作家です。だからこそ、児童文学界には高楼方子が必要です、