『タテルさんゆめのいえをたてる』(ステファン・テマーソン/ぶん フランチスカ・テマーソン/え)

タテルさん ゆめのいえをたてる

タテルさん ゆめのいえをたてる

1938年にポーランドで刊行された作品の邦訳版が登場。理想の自宅を建てようと建築家のビルダーさんに相談を持ちかけたタテルさん。ビルダーさんはカタツムリやフクロウなど動物の家を紹介してなかなか話がかみあいません。ようやく設計図ができて家の建設が始まりますが、あわてんぼうで人の話を最後まで聞かないタテルさんは建築現場になかなかたどり着けません。家ができた後も、なんやかんやとトラブルが続きます。
シンプルな線で描かれたゆるいキャラクター、タイポグラフィーも駆使して文字とイラストを巧みに配置するデザイン性の高さ、絵本としての魅力が高く、眺めているだけで楽しい本になっています。
タテルさんの精神年齢や知識レベルは、想定読者とされる子どもにあわされているのでしょう。せっかく家を建てても水がなかったり電気がこなかったりというトラブルに見舞われるタテルさんですが、専門家の助けを借りて問題を解決していきます。その過程で、生活するということ、そのために人類がいかに知恵を働かせてきたのかということを、スムーズに学べるようになっています。人類の知恵に素直なリスペクトを示しているところに好感が持てます。