『妖怪コンビニ② 化けねこ店長vsコンビニ害獣』(令丈ヒロ子)

コンビニクッキングを趣味とする女子が人外専門のコンビニに出入りする「妖怪コンビニ」シリーズ第2弾。すっかり人外コンビニになじんだアサギは、お月見イベントの企画のために奮闘していました。そんなとき、不審な老人に絡まれていた女子を助けます。ゆうちゃんと名乗った女子は実は幽霊で、すぐにアサギになつきます。
人外コンビニのスタッフや常連客との仲も深まり、アサギのコンビニ活動はますますにぎやかに楽しくなっていきます。その一方で、闇も深まっていきます。ゆうちゃんの境遇の陰惨さには、絶句してしまいます。
アサギの方は、人外の世界になじみすぎているのが心配です。様子のおかしいアサギに母親が「なにか学校でイヤなことがあったのかなって思っちゃった」と声をかけると、アサギはいまの学校にはイヤなことになるほどの他人との関わりはないと内心でつぶやきます。またこの場面には、ゆうちゃんと接して「妹がいたら、どうだったかなあ、とか思ったんだよね……」というアサギの言葉を真に受けた母親が、下の子ができていたら家を出ることなく父親とおばあちゃんとの生活が続けられたのではないかと悩みだし、あわててアサギが「わたしは、そんなおばあちゃんみたいなこと、言わないよ!」とフォローを入れるというやりとりがあります。おばあちゃん、母親に対してどんなモラハラパワハラを繰り返していたんだか、細かいところに闇が混入されています。
しかしいくら闇を深めても令丈ヒロ子ですから、異界の存在を肯定したうえでうまい落としどころを見つけてくれるでしょう。