『ふたごチャレンジ! 4  ココロ揺らめく遊園地!?』(七都にい)

「ふたごチャレンジ!」第4巻。怒濤のホワイト革命事件がどうにか落着し、あかねやかえでたちは打ち上げとして遊園地に遊びに行きます。箸休め回かと思いきや、ラブコメとして事態がどんどん進行していき、各キャラの感情が大洪水になります。
ひとりだけ別の小学校に通っている太陽くんが参加したことがまず火種で、かえでといい感じになってしまい太陽くんのことが好きなあかねとかえでのことが好きな藤司くんの嫉妬心に火をつけてしまいます。
前時代のエンタメでは藤司くんの立ち位置は嘲笑の的とされることが多かったのですが、少なくとも現時点ではそんなことはなく、かえでと藤司くんの関係はロマンチックに進展していきます。ただし、かえでは今だけでなく未来も見据えています。この射程が今後どう生かされていくのか注目されます。
男子っぽい女子と女子っぽい男子では、後者への弾圧が苛烈になるのが一般的で、実際作中でもかえでの方が直接的な被害を受けています。作者はそこにバランス調整を施そうとしたのか、あかねには思い人の太陽くんにすでに彼女がいるという試練を与えています。ふたりで楽しく遊園地で遊んでいても、はじめから負け戦という残酷さ。こっちはこっちで大変です。
ブコメを中心としていながら、「らしさ」というシリーズのテーマにはきちんと向きあっています。そして、最後にあんな爆弾を落とすか……。これで初夏まで次巻を待てというのは酷では?

でも、その後気づいたんだ。
「どっちつかずでいる」ためには、「だれよりも芯が通っている必要があるんだ」ってことに。
「どっちにするか」を決めて、そっち「らしく」ふるまうほうが、ずっと楽なのに。

しかしずるいのは、今回遊園地に行けなかった吉良くんが一番おいしい位置にいることですよね。