『ふたごチャレンジ!6 キミに届け!カラフルな勇気』(七都にい)

5巻のラストであかねは、太陽くんが倒れたという報を太陽くんのカノジョの久遠ちゃんから受けました。お見舞いに行ったところ、いつもは聖人みたいな太陽くんのすさんだ表情を見てしまい、どうやって彼を応援すればよいのか悩みます。一方、カバー袖のイラストで盛大に曇った顔を見せているかえでは、おえかきクラブで取り組む歩道橋ペイントのデザイン案に行き詰まっていました。
今回は、ふたりそれぞれに難題が与えられます。いつも「フツウ」ではないと言われているあかねは、病人やその家族側からは自分が「フツウ」と見做されていたことに驚きます。「フツウ」は相対的なもので、状況によっていくらでも変動するという視点が導入されます。
かえでは、保育園でピンク色のクレヨンを取り上げられたトラウマから、「カラフルな絵」をかけなくなってしまいました。ここで、ボサ髪でアンニュイな雰囲気で天才肌の先輩という人気爆発しそうな新キャラが登場します。絵画で文部科学大臣賞も受賞したことのある泉先輩は、ここで求められているのは大人の期待する『子どもらしい絵』であり、それを見透かしてデザインを考えればよいという達観した助言を与えてくれます。そして、他人からの評価を意識するのかしないのかという問題提起もしてきました。
シリーズ全体のテーマである「フツウ」「らしさ」という問題に対して、今巻でもさらに思索が深められています。それでいて、人間関係もごちゃごちゃしてきてラブコメとしてもどんどん盛り上がってきています。しかし、次巻への引きで毎回誰かを曇らせるのはよろしくないと思います。次回あの人がどんなふうに曇ってくれるのか、楽しみですね。