『学園ミリオネア 100万円ゲーム 2 絶対もうかるウマい話、あります!?』(遠山彼方)

学園金融小説の第2弾。父さんの会社が倒産したのでバカ高い学費を払えなくなり転校の危機に陥ったところを投資に詳しい男子渋沢シキに助けられた津田サクラでしたが、3学期分の学費はまだ確保できていないので、またもシキに頼ろうとします。でもシキは「自分で考えないやつに、投資をする資格はない!」*1と塩対応。そこにさわやかイケメンの上級生ナツメ先輩が現れ、親切にもIPO(いも・ポテト・おいもの略らしい)という絶対儲かる方法を教えてくれました。さらに、投資について教えてくれるスクールにまで誘ってくれます。そこでは、レバニラ炒め(?)とかいう手元にあまりお金がなくても高額の投資ができる魔法のような方法まで教えてもらえました。世の中には困っている人に手を差し伸べてくれる親切な人がいるんですね。人間ってすばらしい。なぜかサクラの姿がネギを背負ったカモのようにみえてきたんですけど、きっと気のせいのはず。
投資スクールの学長は「エス」を名乗っていたので看過できず、学園の黒王子ズズネ様がシキのふりをしてサクラと投資スクールに潜入することになり、サクラは最推しの王子と急接近。ラブコメとしても盛り上がってきます。
ただし、この作品のおもしろさの根幹はコンゲーム的な趣向にあります。シキと詐欺グループの騙しあいが、最大のみどころです。
愉快なキャラが多いのもこの作品の魅力です。主人公のサクラは推しのスズネ様の前でキモキモ思考を垂れ流しにして笑わせてくれます。新キャラの仮面をつけたお嬢様もいい性格していました。でも、もっとも気になるのはシキとスズネ様がお互いにどんな感情を持っているのかというあたり。続きがあればそこをもっと掘り下げてもらいたいです。

*1:お金をテーマとした小手鞠るいの近作『お金たちの愛と冒険』では男にお金を預ければ勝手に投資で増やしてもらえるという理論が展開されていましたが、正しいのはどっちかな?