で、なんやかんやあってみくには、魔法の鏡に映した花の花言葉の能力を使って、人々のこころの花的なやつを奪おうとするオニと戦うバトルヒロインになります。花というテーマは多くの子どもに受けそうです。娯楽として児童文庫を読む層の子は知識欲も強いので、花言葉を覚えられるというお勉強要素があるのもよいおまけになります。
角川つばさ文庫小説賞受賞作だけあって、キャラの魅力も十分です。みくにの数少ない友人になった国分ヒナは、ハイテンションなオカルト少女で、オカルト系の動画配信をしているおもしろ女子です。この子が自分のチャンネルを炎上させてこころの花を奪われるというのは現代的です。
また、古典的ですが、ツンデレヒロインはいいものですね。一歩間違えばストーカーになってしまいかねない愛の重さも笑えます。
気になるのは、外見についての言及がいくつかあったところです。ほむら先輩のセリフに、こんなのがあります。
「植物はウソをつかないからね」
「美しくかざってあげれば、ちゃんと美しく見える。それってすごく、安心するよね」
また竜ヶ水先輩の方は、「見た目だけじゃ、オニかどうかはわかりづらいこともあるよ……」と言います。
花の美しさと絡めて外見というテーマがこの先に深められていくのだとしたら、さらに興味深いシリーズになりそうです。