![風の音をきかせてよ (新創作児童文学) 風の音をきかせてよ (新創作児童文学)](https://d.hatena.ne.jp/images/hatena_aws.gif)
- 作者: 泉啓子,鈴木義治
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 1992/03
- メディア: 単行本
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どの短編も味わい深いのですが、なかでも白眉なのが「学級日記」という作品です。クラスの中で班ごとの交換日記が自然発生的に始まったのですが、杏子を含む数名の人間だけが参加しなかったため学級会でつるし上げられることになります。クラス内の同調圧力は熾烈を極め、学級日記を書かない子供はだんだん減っていきます。そんな子らに日記を書かせることに成功した子供は、誇らしげに書かせた日記の内容を学級会で発表します。いつもおとなしい彼は実はこんなに面白いことを考える人間だったのだというように。孤立する個人をゆるさずに、多数派が求める物語に回収していく。集団の恐ろしさを細やかに描ききっています。最後のひとりになっても静かに抵抗する杏子を応援せずにはいられません。