「マンガ・どうわ なんじゃもんじゃ博士」(長新太)

なんじゃもんじゃ博士 ハラハラ編 (福音館の単行本)

なんじゃもんじゃ博士 ハラハラ編 (福音館の単行本)

なんじゃもんじゃ博士 ドキドキ編 (福音館の単行本)

なんじゃもんじゃ博士 ドキドキ編 (福音館の単行本)

 ちひろ美術館長新太展にいってきたので、また長新太熱が再発してしまいました。読みたい本がまた増えてしまい、とりあえず「なんじゃもんじゃ博士」を手にとってみました。わたしはてっきり2003年に出た「ハラハラ編」「ドキドキ編」が「なんじゃもんじゃ博士」のすべてだと思いこんでいたのですが、この二冊は「母の友」1985年4月から2004年4月まで連載されていた、いわば第二期「なんじゃもんじゃ博士」とでもいうべきものでした。第一期は「母の友」1974年4月から1976年3月にかけて連載されており、「マンガ・どうわ なんじゃもんじゃ博士」(1979)として単行本化されています。
 第一期は第二期とは違い一話完結ではなく続きものになっていて気を持たせてくれます。ゾウアザラシもはじめから博士と一緒にいたわけではなく途中から仲間に加わり、最終話では別れの場面まで描かれています。
 第二期との一番の違いは博士の造形でしょう。まるいです。これではあの独特のへっぴり腰ができませんが、これはこれでかわいいのでOKです。あんなに体重が落ちてしまうとは、第一期と第二期の間で博士は相当な苦労をしたのだと思われます。
 山川草木すべてが命を持って動き回る世界は変わらず、あのゆるゆるとしながらも恐ろしい雰囲気を楽しめます。
 ところで第一期と第二期の間、「母の友」では「アラアラ通信」というひとコマ漫画が連載されていました。そのいくつかは長新太展に展示されていました。時事ネタを扱いながらも長新太一流のはぐらかしでユーモラスな世界が展開されており、「なんじゃもんじゃ博士」とは違った味わいの非常に興味深い作品でした。この作品はまだ単行本になっていないようなので、ぜひ福音館書店になんとかしてもらいたいです。